恋愛小説

『瑠璃でもなく、玻璃でもなく』(唯川恵)感想・書評・レビュー【評価:★★★★★】

■目次

・内容

・感想、書評、レビュー

・著者略歴

1:内容

美月・26歳・未婚・OL・妻がある会社の同僚と不倫中。

英利子・34歳・既婚・専業主婦・子供なし。

バリバリ働く友人を最近眩しく感じている。

将来像を描けない不安を抱える美月と、単調な毎日に漠然とした不満を覚える英利子。

恋も家庭も仕事も自由な時間も、他人にあって自分にないものは妬ましい。

女はどこまで欲張りなのか。

結婚という選択はどれだけ女の人生に影響を与えるものなのか。

※「BOOK」データベースより

2:感想、書評、レビュー

評価:★★★★★

読後の感想は、自己啓発書の読後と思わせるくらい前向きな気持ちになれた!

物語のテーマは「2人の女性の恋愛と結婚」かと思っていて読んでいたのだが、読みすすめていくにつれ「2人の女性の人生」がテーマなのではないかと思えてきた。

物語は対象といえる2人の女性の物語。

1人の男をめぐって、一方は26歳の女性、不倫中。

もう一方はその不倫相手の男の妻。「恋愛」と「結婚」の狭間に揺れる生々しい物語。

言い方が悪いけどストーリー自体はありふれた話であるから、すぐに世界に入り込めた。

300ページ程度なのでノンストップでスラスラ読めた。

ただ、物語後半につれて「どう生きるか」といった感じで「深み」が増していく。

本書の魅力はこの「深み」だろう。

唯川作品は読み終えたあとの「後味の良い余韻」が物語それぞれに違った香りがする。

それがたまらない。

3:著者略歴

唯川恵
1955年金沢市生まれ。

金沢短期大学情報処理学科卒業。

銀行勤務を経て84年「海色の午後」で第3回コバルト・ノベル大賞受賞。

以後、恋愛小説やエッセイを発表し、2002年『肩ごしの恋人』で第126回直木賞受賞。

2008年『愛に似たもの』で第21回紫田錬三郎賞受賞

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

※「BOOK著者紹介情報」