
■目次
・内容
・感想、書評、レビュー
・著者略歴
1:内容
未来につながる、パスがある。
大手自動車メーカー・トキワ自動車のエリート社員だった君嶋隼人は、とある大型買収案件に異を唱えた結果、横浜工場の総務部長に左遷させられ、同社ラグビー部アストロズのゼネラルマネージャーを兼務することに。
かつて強豪として鳴らしたアストロズも、いまは成績不振に喘ぎ、鳴かず飛ばず。
巨額の赤字を垂れ流していた。アストロズを再生せよ―。
ラグビーに関して何の知識も経験もない、ズブの素人である君嶋が、お荷物社会人ラグビーの再建に挑む。
※「BOOK」データベースより
2:感想、書評、レビュー
評価:★★★★☆
読後の感想は「スカッと、爽快!」って感じ。
池井戸潤作品はこれまでに、
「半沢シリーズ4作」
「七つの会議」
「アキラとあきら」
「民王」を読んだ。
本書は半沢シリーズ独特の「スカッとする感じ」と似ている。
正義が悪を退治する感覚にラグビーの要素を掛け合わせた感じ。
ただ掛け合わせ方が「足し算」ではなく「掛け算」のごとく、巧妙につくられているからおもしろい。
物語は、主人公の君嶋が本部から横浜工場に左遷させられるところから始まる。
左遷先で会社が運営するラグビーチーム「アストロズ」のゼネラルマネージャーを兼任することになる。
ラグビー素人の君嶋だったが、そこに待ち構えていたのは年間16億円もの費用をかけ、収支ゼロの弱小チームだった。
問題山積みのチームに君嶋は…?
「本書の読後の気持ちが、半沢シリーズの読後の気持ちに似ている」と前述したのは、本書にも「悪の強い」「憎たらしい上司」が出てくるからである。
その「悪」をギャフンと言わせることができるか、そしてどのようにギャフンといわせるのか、は本書最大のみどころかもしれない。
そのギャフンに「ラグビーの魅力」が絶妙にからんでいるからおもしろい。
2年前のラグビーワールドカップを観戦したときの興奮が蘇った。
3:著者略歴
池井戸潤
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。
98年『果つる底なき』で江戸川乱歩賞、2010年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞、11年『下町ロケット』で直木賞を受賞。
主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』)、「下町ロケット」シリーズ(『ガウディ計画』編、『ゴースト』編、『ヤタガラス』編)、「花咲舞」シリーズ(『不祥事』『花咲舞が黙ってない』)、『空飛ぶタイヤ』『ルーズヴェルト・ゲーム』『七つの会議』『アキラとあきら』『陸王』『民王』などがある。
※「BOOK著者紹介情報」