サスペンス小説

『誘拐遊戯』(知念実希人)感想・書評・レビュー【評価:★★★☆☆】

■目次

・内容

・感想、書評、レビュー

・著者略歴

1:内容

東京・白金で暮らす女子高生が誘拐された。

身代金は5000万円。

犯人を名乗るのは、4年前の女子中学生誘拐事件の犯人「ゲームマスター」。

交渉役には元警視庁刑事・上原真悟を指名。

ゲームマスターのミッションを果たすべく、上原は池袋、豊洲、押上など、東京中を駆け回るが…。衝撃の結末が待つ犯罪サスペンス!

※「BOOK」データベースより

2:感想、書評、レビュー

評価:★★★☆☆

知念実希人の小説は本書で2作目。

前回読んだのは「崩れた脳を抱きしめて」。

医療系ミステリー小説でそれを読んで感動し、他のを読んでみたいと思って本書を手にとった。

読後の感想は「ちょっと残念」。

前回読んだ「崩れた脳を抱きしめて」が高評価だったせいか、期待しすぎたのかも?

物語はある誘拐事件とそれを追う刑事の話。

物語自体はとてもわかりやすいし、スラスラ読めた。

本書の何が減点ポイントだったかというと

「ゲームマスターとの攻防が受け身一辺倒で特殊捜査班はやられっぱなし」

「ゲームマスターが上原に固執した理由(クライマックス)が腑に落ちなかったこと」

の2つかな。

1つ目に関しては特殊捜査班と言われるくらいなのだから、プロとしての知識や経験、交渉術でゲームマスターに一矢報いてほしかった。

少し古いけど、映画「交渉人」でケビン・スペイシーがみせるプロの交渉人としての交渉術的な描写も欲しかった。

2つ目に関しては、本書最大の見どころの部分なんだけど、「犯人の動機」が「やりすぎ」な感じがした。

「だからといってそこまでやる?」って思ってしまった。

犯人に「何があって」「どんな過去や経験をして」「何を感じて」「どんな行動をおこしたか」。

犯行に及ぶ動機の「心の描写」がもうちょっと欲しかった。

3:著者略歴

知念実希人
1978年、沖縄県生まれ。

東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。

2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。

12年、同作を改題、『誰がための刃』で作家デビュー(19年『レゾンデートル』として文庫化)。

「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年『仮面病棟』が啓文堂文庫大賞を受賞、ベストセラーに。

『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』で、18年、19年本屋大賞連続ノミネート。

著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

※「BOOK著者紹介情報」