サスペンス小説

『名も無き世界のエンドロール』(行成薫)感想・書評・レビュー【評価:★★★★☆】

■目次

・内容

・感想、書評、レビュー

・著者略歴

1:内容

ドッキリを仕掛けるのが生き甲斐のマコトと、それに引っかかってばかりの俺は、小学校時代からの腐れ縁だ。

30歳になり、社長になった「ドッキリスト」のマコトは、「ビビリスト」の俺を巻き込んで、史上最大の「プロポーズ大作戦」を決行すると言い出した―。

一日あれば、世界は変わる。男たちの命がけの情熱は、彼女に届くのか?大いなる「企み」を秘めた第25回小説すばる新人賞受賞作。

※「BOOK」データベースより

2:感想、書評、レビュー

評価:★★★★☆

物語のテーマは「ドッキリ」。

「ドッキリ」ときくと、「コミカル」で「微笑ましい」という明るい印象を受ける人がほとんどだと思う。

ただ本書は「明るくコミカル」という印象もうけるし、「シリアスで哲学的」ともとれる。

それくらい深みがある物語だ。

主人公である男二人組の「現在」「過去」を行き来し、正直いうと中盤くらいまで「この物語はどの方向に向かっているの?」と思ってしまった。

ただ、物語中盤から後半にかけて、散りばめられた伏線のパズルのピースが自分の脳の中で、どんどん型にはまっていき、モヤモヤしていた映像がくっきりしてきた。

競馬で例えるなら、ラスト200mに入る前の最終コーナーまで馬群後方にいたのに、ラスト200mの直線に入ったとたんもうスピードで駆け抜け、2馬身差つけて1位をとっちゃう、そんなかんじ。

読後の率直な感想は「あれ?こうゆうことだよね?この解釈であってるかな?」と思って、慌てて気になった箇所を読み返した。

異性の人と映画を見に行って、終わった後のディナーで「あのシーンの○○の気持ちはきっと△△だと思うんだけど、どうおもう?」的なことを意見しあいたい。

読み手に考えさせる、そんな物語だった。

3:著者略歴

行成薫
1979年生まれ。宮城県仙台市出身。東北学院大学教養学部卒業。

2012年『名も無き世界のエンドロール』(『マチルダ』改題)で第25回小説すばる新人賞を受賞してデビュー

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

※「BOOK著者紹介情報」