
■目次
・内容
・感想、書評、レビュー
・著者略歴
1:内容
博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原。
愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とそのカリスマ性で勢力を拡大していた。
広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の匂いを嗅ぎ取り、沖を食い止めようと奔走する。
時は移り平成16年、懲役刑を受けて出所した沖がふたたび広島で動き出した。
だがすでに暴対法が施行されて久しく、シノギもままならなくなっていた。
焦燥感に駆られるように沖が暴走を始めた矢先、かつて大上の薫陶を受けた呉原東署の刑事・日岡秀一が沖に接近する…。
不滅の警察小説シリーズ、令和でついに完結!
※「BOOK」データベースより
2:感想、書評、レビュー
評価:★★★★★
これは面白い!本書は「孤狼の血」シリーズの3作目。
僕は「孤狼の血」も「凶犬の眼」も読んだので、本書を読むのが楽しみでしかたなかった。
内容は最高におもしろい!見事に期待を超える満足感!
「孤狼の血」よりも「凶犬の眼」よりもバイオレンス・過激な描写で大迫力だった。
今回のテーマは「ヤクザVS半グレ」だ。主人公は「呉寅会」を率いる沖虎彦。
相手がヤクザだろうが臆すことなく向かっていく。時代は昭和57年の広島呉原。
沖はヤクザの事務所に殴り込み、強奪、リンチ。映画なら間違いなくR15指定だ。
ヤクザには2種類ある。
「カタギに迷惑をかけるヤクザ」
「カタギに迷惑をかけないヤクザ(厳密には迷惑をかけないわけではないが)」。
大上は前者をとことん排除する。
それが大上にとっての正義。
本書にでてくるヤクザは「前者よりか」「後者よりか」を見分けながら読み進めていくと理解しやすいだろう。
というのも「敵対しているのはどこの組とどこの組か」をわかっていないと内容は複雑で面白みが半減する気がするからである。
(物語冒頭に相関図があるので参考にすることをおすすめする)
本書はシリーズ完結編だが、本シリーズファンとしては寂しい…。
3:著者略歴
柚月裕子
1968年岩手県出身。
2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。
13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。18年『盤上の向日葵』で「本屋大賞」2位
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※「BOOK著者紹介情報」