ミステリー小説

『白夜行』(東野圭吾)感想・書評・レビュー【評価:★★★★★】

■目次

・内容

・感想、書評、レビュー

・著者略歴

1:内容

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。

被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。

二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。

だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。

息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。

心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。
※「BOOK」データベースより

2:感想、書評、レビュー

評価:★★★★★

これは僕の嫁が激推しの小説。

率直な感想は、、、おもしろい!

そして東野氏過去10作品程読んだ中で最も暗いミステリー。

赤ワインで例えるなら「軽くて甘め」ではなく「重くて苦い」感じ。

僕は「重くて苦み」のある赤ワインが好き。

舌で味わおうとすると苦味が強いけど、飲んだあとに鼻ですーっと息を吐いたあとに香る渋みがたまらない。

そんな深みのあるストーリー。

これまで読んだ東野小説とは描写の仕方、テイストが違うのも、深みを感じた要因かもしれない。

物語はある殺人事件をきっかけに動き出す。

人生明るいこともあれば暗いこともある。

明けない夜はないが、彼らに夜が明ける日がくるのだろうか?

本書の特徴の一つは、亮司と雪穂の視点はなくて、彼らを取り巻く人達の視点で物語が展開していく。

何を考え、何を思っているかは彼らの行動から読み手が解釈する。

だからこそ「鼻から抜ける香りを楽しむ」という味わいを得たのかもしれない。

いつもと違う感動を得られたのは言うまでもない。

映画化もドラマ化もされていて、ドラマは見た。

亮司役が山田孝之、雪穂役が綾瀬はるか。

二人ともドハマリ!ドラマを見てない方は是非見てもらいたい!

3:著者略歴

東野圭吾
1958年大阪市生。大阪府立大学電気工学科卒。

エンジニアとして勤務しながら小説を書き、85年、「放課後」で第31回江戸川乱歩賞を受賞、その後執筆に専念。

99年、「秘密」で第52回日本推理作家協会賞を受賞

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※「BOOK著者紹介情報」