ミステリー小説

『パレートの誤算』(柚月裕子)感想・書評・レビュー【評価:★★★★☆】

■目次

・内容

・感想、書評、レビュー

・著者略歴

1:内容

ベテランケースワーカーの山川が殺された。

新人職員の牧野聡美は彼のあとを継ぎ、生活保護受給世帯を訪問し支援を行うことに。

仕事熱心で人望も厚い山川だったが、訪問先のアパートが燃え、焼け跡から撲殺死体で発見されていた。

聡美は、受給者を訪ねるうちに山川がヤクザと不適切な関係を持っていた可能性に気付くが…。

生活保護の闇に迫る、渾身の社会派ミステリー!

※「BOOK」データベースより

2:感想、書評、レビュー

評価:★★★★☆

「孤狼の血」「最後の証人」を読んですっかり柚月裕子ファンになってしまったので本書も読んでみた。

結論からいうと、本書もGOOD!タイトルの「パレート」とは「パレートの法則」のこと。

パレートの法則とは「80:20の法則」のことで、通販サイトで例えるなら、「2割の製品が8割の売上を占める」といったように「ある事象の2割が、全体の8割を生み出しているという状態を示す経験則のこと」である。

様々なシーンで利用されるから聞いたころある方もいるのではないだろうか。

本書の物語の主人公はケースワーカー。

ケースワーカーとは、身体上や精神上などの理由によって、日常生活を送るうえでさまざまな困りごとを持つ地域住民の「相談援助業務」に就く人のこと(wiki参照)。

社会復帰の手助けが必要かどうか、自立できるのに不正受給をしていないかなど、定期的に訪問してまわるのが主な仕事。

ある日、聡美の先輩社員である山川が訪問先のアパートの火事に巻き込まれ死体で発見される・・・。

この死のナゾが、物語進行とともにどんどんと膨張していく。

生活保護受給者の方への印象は、読む前と読んだ後でかわった。

社会問題に対する関心度も増した。読後は考えさせられるような余韻が残った。

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3:著者略歴

柚月裕子
1968年岩手県生まれ。

2008年『臨床真理』で第七回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。

13年『検事の本懐』で第十五回大藪春彦賞受賞。

16年『孤狼の血』で第六十九回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)受賞

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

※「BOOK著者紹介情報」