
■目次
・内容
・感想、書評、レビュー
・著者略歴
1:内容
検事を辞して弁護士に転身した佐方貞人のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。
ホテルの密室で男女の痴情のもつれが引き起こした刺殺事件。
現場の状況証拠などから被告人は有罪が濃厚とされていた。
それにもかかわらず、佐方は弁護を引き受けた。
「面白くなりそう」だから。
佐方は法廷で若手敏腕検事・真生と対峙しながら事件の裏に隠された真相を手繰り寄せていく。
やがて7年前に起きたある交通事故との関連が明らかになり…。
※「BOOK」データベースより
2:感想、書評、レビュー
評価:★★★★☆
柚月裕子は「孤狼の血」の著者ということで個人的に大注目の著者。
「孤狼の血 映画版」→「孤狼の血 原作」→「柚月裕子ファン」→「本書」このような経緯で本書にたどり着いた。
孤狼の血がクライム・サスペンスだったのに対し、本書はリーガル・サスペンス。
期待値高めで読んだけど期待どおりおもしろい。
ただ、僕はリーガルものはもともとあまり好きなジャンルではなかった。
勝手なイメージだけどだいたい結末は不利な状況からの逆転劇なんじゃないかと思ってしまうところがあったからだ。
本書を読んでみてただの食わず嫌いだったんだと感じた。
本書はそんな単純なものではなく、良い意味で裏切ってくれた。
裁判の内容はとある殺人事件。物語は「現在」と「過去」の2つの時間軸から成る。
なぜこの殺人事件は起きたのか。
その背景に潜む悲劇とは。
最終弁論には胸が打たれた。
あたかも自分が傍聴席に座っているかのような緊張感と臨場感。
もちろん結末は驚きの連続だったし、納得感ばつぐんの内容だった。
僕がそうだったようにリーガル小説が苦手な人にも楽しめる1冊だ。
3:著者略歴
柚月裕子
1968年岩手県出身。
2008年『臨床真理』で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。
13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞を、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。
18年『盤上の向日葵』で「本屋大賞」2位
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※「BOOK著者紹介情報」