時代小説

『燃えよ剣』(司馬遼太郎)感想・書評・レビュー【評価:★★★★★】

■目次

・内容

・感想、書評、レビュー

・著者略歴

1:内容

(上)
幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。

武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、生来の喧嘩好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆく。

「竜馬がゆく」と並び、“幕末もの”の頂点をなす長編。

(下)
元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。

新選組のもっとも得意な日々であった。

やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。

しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。
※「BOOK」データベースより

2:感想、書評、レビュー

評価:★★★★★

(上)
土方歳三がかっこよすぎる。

興奮しまくった!新選組の土方歳三視点の幕末の動乱の物語。

新選組の生い立ち、メンバーの性格、メンバー同士のコミュニケーション、かなり詳しく・かっこよく描写されている。

幕末の世界にすぐに入り込めた。

見どころは多くて絞りきれないが個人的には「土方の新選組にかける思い」「土方の組織づくりにおけるカリスマ性」「土方の圧倒的強さ」このあたりかな。

土方の強さは”剣”の強さだけでなく、”軍師”としての強さが魅力的。

田舎道場出身の不良集団が歴史に名を刻むことに至った壮絶なドラマが臨場感満載で描かれている名作。

(下)
(下)はいよいよ戊辰戦争突入。ラストは五稜郭の戦い。

このあたりの話は、僕が歴史に疎いということもあり事前情報としてはなんとなくしか把握していなかったけど、ラストシーンは感動した。

土方歳三がなぜこれほどまでに自分を魅了したのか考えてみた。

一言でいうと「ブレない男」だから。幕末の動乱で変化が激しい時代。

時代が変化しても土方の信念はブレない。

自分の人生における確固たる優先順位が決まっているからだと思う。

“鬼”の土方でもお雪の前では鬼の仮面がとれる。

そんな人間らしい一面もあるからこそ引き込まれたんだろうな。こんな男になりたい。

3:著者略歴

司馬/遼太郎
1923‐1996。大阪市生れ。大阪外国語学校蒙古語科卒。

産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。

以後、歴史小説を一新する話題作を続々と発表。

’66年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞を受賞したのを始め、数々の賞を受賞。

’93(平成5)年には文化勲章を受章。

“司馬史観”とよばれる自在で明晰な歴史の見方が絶大な信頼をあつめるなか、’71年開始の『街道をゆく』などの連載半ばにして急逝。

享年72(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※「BOOK著者紹介情報」