ミステリー小説

『羊をめぐる冒険』(村上春樹)感想・書評・レビュー【評価:★★★★☆】

■目次

・内容

・感想、書評、レビュー

・著者略歴

1:内容

(上)
あなたのことは今でも好きよ、という言葉を残して妻が出て行った。

その後広告コピーの仕事を通して、耳専門のモデルをしている二十一歳の女性が新しいガール・フレンドとなった。

北海道に渡ったらしい“鼠”の手紙から、ある日羊をめぐる冒険行が始まる。

新しい文学の扉をひらいた村上春樹の代表作長編。

(下)
美しい耳の彼女と共に、星形の斑紋を背中に持っているという1頭の羊と<鼠>の行方を追って、北海道奥地の牧場にたどりついた僕を、恐ろしい事実が待ち受けていた。

1982年秋、僕たちの旅は終わる。すべてを失った僕の、ラスト・アドベンチャー。

村上春樹の青春3部作完結編。野間文芸新人賞受賞作。
※「BOOK」データベースより

2:感想、書評、レビュー

評価:★★★★☆

(上)
本書が村上春樹著の本を読むのは初めて。

率直な感想はおもしろい!

本書を薦めてくれた知人は「村上春樹は癖があるから好きか嫌いか分かれる」と言われていたけど、言い回し・表現に独特の癖は感じたけど、少なくても本書はおもしろかった!

ただ、正直いうと物語序盤は登場人物の描写が独特でとまどった。

(上)は大きな展開もなくたんたんと進行していくのだけど、後半に差し掛かるあたりで一気に引き込まれた。

「助走が長い文、離陸したときの飛躍が大きい」例えるならこんな感じ。

気づけば「散りばめられた伏線・ナゾ」に対する好奇心が高まっていて序盤「村上春樹の世界感に入り込めなかった」のが嘘かのように夢中になっていた。

これが村上春樹マジックなのか?

(下)
(上)を読んだ翌日に(下)を読んだ。

結論からいうと、良かった!

(上)の後半から本格的な冒険が始まり、(下)の序盤で徐々にナゾが明かされていくと思いきや、なかなかナゾが解かれないwナゾへの期待とワクワクが「ダムにたまる水かさが増えていくけど、その水は一向に開放されない」感じ。

クライマックスに差し掛かりそのダムは決壊し、溜まりに溜まった水が津波のごとく押し寄せる。

ずっと我慢して、、、期待していた、、、ワクワク感が怒涛のように押し寄せる!その開放感がすさまじく、やみつきになりそう。

3:著者略歴

1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。

1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。

主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。

『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。
※「BOOK著者紹介情報」