時代小説

『のぼうの城』(和田竜)感想・書評・レビュー【評価:★★★★☆】

■目次

・あらすじ

・感想、書評、レビュー

・著者略歴

1:あらすじ

(上)
戦国期、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じた。

そのなかに支城、武州・忍城があった。周囲を湖で取り囲まれた「浮城」の異名を持つ難攻不落の城である。

秀吉方約二万の大軍を指揮した石田三成の軍勢に対して、その数、僅か五百。城代・成田長親は、領民たちに木偶の坊から取った「のぼう様」などと呼ばれても泰然としている御仁。

武・智・仁で統率する、従来の武将とはおよそ異なるが、なぜか領民の人心を掌握していた。

従来の武将とは異なる新しい英傑像を提示した四十万部突破、本屋大賞二位の戦国エンターテインメント小説。

※「BOOK」データベースより

(下)
「戦いまする」三成軍使者・長束正家の度重なる愚弄に対し、予定していた和睦の姿勢を翻した「のぼう様」こと成田長親は、正木丹波、柴崎和泉、酒巻靱負ら癖のある家臣らの強い支持を得て、忍城軍総大将としてついに立ちあがる。

「これよ、これ。儂が求めていたものは」一方、秀吉に全権を託された忍城攻城軍総大将・石田三成の表情は明るかった。

我が意を得たり、とばかりに忍城各門に向け、数の上で圧倒的に有利な兵を配備した。後に「三成の忍城水攻め」として戦国史に記される壮絶な戦いが、ついに幕を開ける。

※「BOOK」データベースより

2:感想、書評、レビュー

評価:★★★★☆

実は僕はあまり歴史は詳しくないが、この本をきっかけに戦国時代に興味が出た!

忍城というも初めて聞いたんだけど、物語の世界観にはすぐに入り込むことができた。

それくらい著者の筆力がすごいし、読みやすい。

「石田軍2万人VS成田軍500人」。誰がどう見ても無謀な戦い。

にも関わらず士気を高く戦えたのは”のぼう様(成田長親)”という将器高い男がいたから。

でも「のぼう様」はドラえもんでいう”のび太”的な性格で「頼りない」「不器用」「武」も「文」もない。

一見ダメ人間のような人だけど、誰からも親われ、誰よりも正義感が強く心が清らかな人柄の持ち主。

少年ジャンプではまず主役にはなれないような「のぼう様」が実在した人間で歴史に名を残す総大将だったのだから、おもしろい。

歴史を題材にしたフィクション時代小説。

3:著者略歴

和田竜
1969年大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。

03年に、脚本「忍ぶの城」で城戸賞を受賞。07年に同作と同内容の小説「のぼうの城」を刊行し、作家デビュー。

直木賞候補、本屋大賞第二位となる。

※「BOOK」データベースより